弱冠12歳でEpic Recordsと契約
ガールズグループの歌手として活躍していた2人の姉、ミラ・ジェイとミヨコ・キロンボの背中を見て育ったジャネイ・アイコ。幼い頃から2人のようなシンガーになるのが夢だった彼女は、幼い頃からテレビショーなどに出演をし、弱冠12歳でマイケル・ジャクソンやマライア・キャリーなどが所属していたEpic Recordsと契約を結んだ。
“アイコ”という名の通り、彼女は母方の祖父が日本人で、母親が日本、スパニッシュ、ドミニカの血を引くミックスで、父親がアフリカ系アメリカ人。さまざまな人種の血を引く彼女は、その背景が音楽にも落とし込まれている。
デビュー曲となったのは、2002年にリリースされた「No Love」。翌年には、デビューアルバムとなる『My Name Is Jhene』を発表する予定だったものの、お蔵入りとなり、音楽活動を休止。大きな挫折を味わったジャネイは、学業に専念するためコミュニティ・カレッジへ進学する。卒業後に音楽活動を再開するも、20歳になった2008年に妊娠をし、再び音楽活動が休止に。
若くして波乱万丈な音楽人生を歩んでいたジャネイが、その存在を世間に焼き付けたのは、2度目の休止から3年後となる2011年。カニエ・ウェスト、ケンドリック・ラマー、ドレイクなどの蒼々たるメンバーが参加していたジャネイのミックステープ「Sailing Soul(S)」がブレイクし、往年のディーヴァのような貫禄っぷりを魅せる彼女に、多くの人々が心を射抜かれた。
2014年には、念願だったソロアルバム『Souled Out』をリリースし、デビューアルバムにして全米第3位という記録を残す。そんなジャネイにラブコールを送るのは、ファンだけでなく音楽業界からも止まらなかった。彼女はそれ以降、さまざまなミュージシャンの楽曲に参加をし、その名を知らしめ、瞬く間に音楽シーンのミューズのような存在となったのだ。
ターニングポイントの3rdアルバム『Chilombo』
2年半ぶりにリリースされたアルバム『Chilombo(キロンボ)』は、自分の本名であるJhene Aiko Efuru Chilomboからタイトルを取り、日系の母のルーツを想いながら制作したアルバム。収録された楽曲の大半が曾祖母の故郷であるハワイでレコーディングされ、ジャネイのこれまでの起源を辿っていくような一枚になっている。
今回も楽曲には、ナズ、ビッグ・ショーン、H.E.R、ジョン・レジェンドなどが参加し、幻想的で美しい彼女の世界観にさらに彩りを添えてくれた。紆余曲折だったこれまでの音楽人生のターニングポイントのようなこのアルバム。ここを起点として、また新たな顔を見せてくれるであろうジャネイのこれからが楽しみである。