ステイシー・ペラルタ擁する伝説のスケートボード・チーム=ボーンズブリゲードの最年少メンバーとして颯爽とスケート界に登場し、80年代以降の西海岸スケートシーンの中心人物となったトミー・ゲレロ。今やストリートスケート界のレジェンドとなったトミー・ゲレロがミュージシャンとして広く知られることになった97年の名作「LOOSE GROOVES & BASTARD BLUES」がデビュー20周年を記念してりマスタリング盤/新アートワーク仕様で限定LPリイシュー! アナログで聴くべき1枚!

Contents
TOMMY GUERRERO
LOOSE GROOVES & BASTARD BLUES (LP/REMASTER) 【LTD】
レーベル:RUSH!PRODUCTION
フォーマット:LP (レコード)
規格番号:RUSH-00001-LP
通販番号:AWS171130TOMMY1
発売日 : 12月下旬入荷予定
EAN:2299990425222
Side A
A1 B.W.s Blues
A2 So Blue It’s Black
A3 Keep On Keepin On
A4 Azule
A5 Black Sheep Blues
A6 30
Side B
B1 Pollo Caliente
B2 Never
B3 Solow
B4 Introspection Section
B5 Gone
B6 In My Head
B7 Soul Miner
1980年代後半、西海岸を中心に巻き起こったスケートボードのムーヴメントは、あらゆるユースカルチャーに計り知れない影響を与えたが、その仕掛人とも言うべきトミー・ゲレロが97年に発表した本作。シンプルな打ち込みのビートに、彼が弾くギターやベースなどを乗せたインストゥルメンタルで、一言で言うなら「ヒップホップ・ブルーズ」。再発盤のジャケはスケート雑誌Thrasherのカメラマン、フォトエディタ=ブライス・カナイツ氏が撮影したものでトミー・ゲレロが13歳頃の写真となる。
Tommy Loose Grooves Reissue Interview
なぜこのタイミングで「Loose Grooves & Bastard Blues」をリイシューしようと思ったのでしょうか? アルバムの内容は同じですか?
T: 俺のファースト・アルバムの20周年記念だから、リイシューしたかったんだ。もともと97年にリリースされたアルバムなんだよ。楽曲はすべて同じだけど、リマスタリングしたんだ。「In My Head」のボサノヴァ・バージョンをプロモーション用に新たにレコーディングしたんだけど、この曲は無料配布されるよ。
なぜアナログ盤をリリースしようと思いましたか?
T: 97年にこのアルバムがリリースされてから、このアルバムのアナログ盤は出回ってなかったから、レコードも再発したいと思ったんだ。あと、実際に手で触れることができる、意義のある作品を残したかったから、レコードを作ることにした。ヴァイナルっていうのは、とてもマジカルだと思うんだ。
このアルバムは4トラックでレコーディングしたのでしょうか? それ以前から4トラックでレコーディングを行っていたんですか?
T: いや、このアルバムの大半はADATというデジタルVHSテープのフォーマットでレコーディングしたんだ。でも、「So Blue it’s Black」という曲は4トラックでレコーディングした。もともと19歳の時に初めて買った4トラックのPortastudioでレコーディングし始めたんだ。
4トラックのレコーディングで気に入ってるところは?
T: シンプルなところ。とてもわかりやすい機材なんだ。あと、4トラックという制約を気に入ってるんだ。もちろんトラックをバウンスすればトラックの数は増やせるけど、制約があった方がインスピレーションを受けられるんだ。
当時に比べると、レコーディングの方法は変わりましたか?
T:それはイエスとノーだね。当時に比べると、もう少し機材の知識が増えたけど、今でも4トラックでレコーディングすることが好きなんだ。とても即時性のあるレコーディング・スタイルだよ。ちゃんとしたレコーディング・スタジオに比べると、準備があまり必要ない。それに4トラックのラフで、ファジーで、ひずんだ音質をとても気に入ってる。でも作品の方向性、気分、時間制限によってレコーディング方法を使い分けるようにしてる。4トラックのカセット・レコーダーはデリケートで不安定なところがあるんだ。30年前の機材だから、常にメンテが必要なんだよ。今はPro Toolsを使うことが多くて、良いオーディオ・インターフェースとマイクプリを持ってる。今の時代は、良い音質のアルバムをレコーディングするためにそんなに高い機材は必要ないんだ。
「Loose Grooves」の音楽は、もともとあなたのスケート・ビデオで使われたのでしょうか?
T: そうなんだ。以前、Fortiesという服のブランドを、Deluxeというスケート会社の傘下で運営してデザインもやってたんだけど、そのブランドのためにAmigosというスケート・ビデオを作ったんだ。もともとそのビデオのために、このアルバムに入ってる曲をレコーディングしたんだ。多分そのビデオは、Youtubeに上がってるはずだよ。
この音楽をなぜスケート・ビデオで使おうと思ったのでしょうか?
T: もともとこの音楽は、そのスケート・ビデオだけのために作ったものなんだ。実は、作品としてリリースしようとも思ってなかったし、誰も興味を持つと思ってなかったんだ。「Loose Grooves」は、「Amigos」のビデオが発表されてからリリースしたんだ。「Amigos」のビデオに入ってた曲は全て「Loose Grooves」に入ってるわけじゃないんだ。その方が良かったけどね。
97年のリリースと、2017年のリリースのジャケの写真について教えてください。
T: 97年のリリースの表紙に写っている子供は俺じゃないんだ。グレッグ・ハントというカメラマンが旅中にたまたま出会って撮った少年の写真なんだ。その時にグレッグは自分のギターを少年にもたせて写真を撮ったらしい。再発盤のジャケは、ブライス・カナイツというカメラマンが撮影した。彼はスケート雑誌Thrasherのカメラマン、フォトエディターだったんだ。確か1980年くらいの写真だけど、俺は13、14歳くらいだった。これはサンフランシスコのオーシャン・ビーチというところで撮影し、色々な思い出が詰まった写真なんだよ。サンフランシスコ市内では、フルパイプのあるスケートパークは珍しくて、俺らが唯一スケートしたフルパイプだった。でもこのパークは長続きしなくて、あまりスケートした人はいなかった。俺らはラッキーだったんだよ。
なぜこのスケート写真を再発盤のジャケとして使ったのでしょうか?
T:オリジナルのリリースと、再発盤の違いをはっきりさせたかったのと、俺の過去の写真を使いたかったんだ。このスケート・スポットがレアだったから、この写真がお気に入りだったんだ。
どういうきっかけで、トーマス・キャンベルが「Loose Grooves」をリリースすることになったのでしょうか?
T: モワックスが最初に興味を持ってくれたんだけど、すぐにリリースに繋がらなかったんだ。そのあとにトーマスが、ギャラクシアからリリースしたいと言ってくれたんだ。俺は承諾したんだけど、レーベルに負債を抱えて欲しくないから、「リリースの費用を半分出すよ」と言ったんだ。俺のインストミュージックなんか誰も興味を持つとは思ってなかった。
96年か97年にマニーマークに出会って、音作りの自信が付いたと聞いたことがありますが、実際どうだったのでしょうか?
T: いや、そういうわけじゃない。マークに出会う15年前から、すでに俺は音楽制作をやってたからね。彼のアルバムを聴いた時に、インストミュージックで人を感動させられる、っていうことを実感したんだ。彼が作った「Keyboard Repair」が大好きで、すごく共感した。ああいう作品は当時なかったんだよ。いい意味で、どこかぶっ壊れたサウンドの作品だった。俺がやってきた音楽とある意味似ていて、音楽を通して、心の内側を露呈してる作品だった。アーティストっていうのは、心の内を見せないとできないものなんだ。
ボーナス・トラックについて教えてもらえますか?
T: 「In My Head」のボサノヴァ・バージョンなんだ。ナイロン・ストリング・ギターを使うときは、こんなスタイルで演奏するんだ。Tascam 244の4トラック・カセット・レコーダーで録音したんだよ。
「Loos Grooves」がリリースされて20年経つわけですが、初めてこのアルバムを聴く新しい世代のリスナーにメッセージをお願いします。
T: このアルバムは、等身大の俺を表現した作品だよ。それだけさ。自分の直感を信じてほしい。最初に降りてくる直感というのは、たいてい当たってるんだよ。
次のアルバムは10枚目になるわけですが、どんな作品になりそうですか?
T: 次のアルバムはどういう方向になるかまだ決まってないんだ。数年前に4トラックでダブ風の曲を9曲くらい作った。ドラム・マシン、ベース、レコードからサンプリングした音をRoland Space Echoに通して使ってるんだ。このプロジェクトではギターは使ってなくて、キーボードとかサンプリングが主体だ。それぞれの曲を4トラックという制約の中でレコーディングしたんだけど、すごく楽しかった。この作品はカセットや7インチでリリースしたい。
photos by Claudine Gossett