クラブ・ジャズ・シーンで日本を代表するバンドquasimodeのリーダーであり、ジャズ・ピアニストの平戸祐介による、世界基準のソロ・プロジェクト・アルバム『TOWER OF TOUCH』がリリース。コズミックでスペイシーな楽曲がずらりと並び、進化系ジャズ・サウンドでまとめあげられた本作。なぜ、このタイミングでジャズとエレクトロとヒップホップを融合させたアルバムを制作したのか、本人に話を伺い想いを語ってもらった。
ソロ・アルバム『Tower of Touch』はコズミックでスペイシーな内容ですが、今、このタイミングで制作しリリースされたのはなぜでしょうか?
前作の『Heritage』が演奏する人数が結構多かったんですよね。なので今回はスリーピースということで、ある意味前作よりちょっとシェイプアップをして、その中でどれだけの音楽を表現できるかっていうところにチャレンジしました。そして、僕たちも中堅世代に入ってきたので、若手をフックアップしなきゃいけないなっていう思いがすごく強くなってきていて、であれば若手をフックアップしたアルバムを作りたいなと思って今作を制作しました。
ベーシストで、Gecko & Tokage Paradeの中山さんをピックアップしていますね。
実際のところアルバムを制作する際に、何人か候補はいたんですけど、若いミュージシャンをフックアップしたいという思いがあってGecko & Tokage Paradeの中山くんに声をかけました。やっぱり若いエネルギーというのは音楽を活性化する上で非常に必要なことだと思ってるし、実際ジャズの歴史もそれを繰り返して来てるんですよね。ドラマーのアート・ブレイキーだったり、トランペッターのマイルス・デイヴィスだったり、フレディ・ハバードだったり。その方達っていうのは常に若い血をバンドに入れてバンドを活性化していったっていう歴史的な事実もありますからね。
アルバムの制作はいつからされていたのですか?
昨年(18年)の11月くらいには今回のアルバムの音のイメージは固まっていて、12月になって曲を作り出したんですよ。イメージがすごい固まってたんで、僕自身も初めての経験で怖いなと思いましたけど、1ヶ月ちょっとで今回のアルバムの楽曲が全部できたんですよ。
ハーヴィー・メイソンとかマイルス・デイヴィスとかのコズミックな楽曲に近いですが、次はこういうのをやってみたいなと思ったのですか?
ハーヴィー・メイソンだったりマイルス・デイヴィス、ロイ・エアーズとかは僕自身音楽の中で通過して来てるんで、もう彼らはレジェンドって言われてる方々じゃないですか。もちろん彼らの素晴らしさもわかってるんですけど、僕が聴いて来たのはどちらかというとUKのクラブシーンなんですよ。例えばディーゴだったりカイディ・タタムだったりヘンリー・ウーだったり、あの辺の要はブロークンビーツを主体としたクラブ・ジャズで、なおかつヒップホップの要素も入っている、そういうクラブシーンのジャズと先ほど言ったような70年代のジャズが混ざったものをクリエイトしたいなという思いがありました。
『Tower of Touch』というタイトルをつけた理由は何でしょうか?
今回、制作する上で2015年に自分の率いていたクオシモードが活動休止をし、今年5年目になるんですね。クオシモードの時のように世界を目指すアルバムを作ってみようと思って、それがモチベーションになっています。タワーの頂点をタッチ(ピアノタッチ)するということ。自分の指先で頂点を取るんだ、という思いが込められてます。

平戸祐介
『タワー・オブ・タッチ』
https://diskunion.net/diw/ct/news/article/1/84440
レーベル AT HOME SOUND
発売日 2019年12月11日
EAN 4988044050921
トラックリスト
01. THE KICKER
02. HEADY DAYZ
03. RHYMES
04. EARLY BIRD
05. SONAR
06. BLUE SKY
07. GALAXY HIGHWAY
08. CIRCLE
photos by Daisuke Urano