60年代後半から70年代前半にかけてニューヨークを支配していたストリート・ギャング・カルチャーは、この世界に冠たる都市の絶望と貧困と混沌の黒歴史だが、それを土壌にして、20世紀、そしておそらくは21世紀最大の文化が発芽した。ヒップホップの歴史は、これまでに世界中で語り尽くされてきたが、しかしこの文化が誕生した背景に、サウスブロンクスのギャング・カルチャーがあることは、ほとんど語られていない。間もなくアメリカで封切られる『Rubble Kings』は、その歴史の真実にメスを入れたドキュメンタリー映画。監督シャン・ニコルソンの本邦初インタビューにより、この映画が持つ重大な意義を明らかにする。